調査の実践
コンセプト評価インタビューの分析:「よさそう」をどう読み解くか
コンセプトの理解、最近の経験、利用意向、実際の行動を分けて整理。架空の経費精算アシスタントを例に、次の検証とテンプレートの使い方を説明します。

「よさそう」は、もう少し聞いてみたい反応
コンセプト評価のインタビューでは、提案がどう理解され、どんな経験に結びつき、採用時に何が障害になりそうかを調べられます。ただし、好意的な感想や利用意向だけで、購入、継続利用、市場規模までは判断できません。
「便利そうですね。あれば使うと思います」。そう言ってもらえるとうれしいものです。ただ、文字起こしを読み返すときは少し立ち止まりたい。相手が理解した機能は、こちらが作ろうとしているものと同じでしょうか。最近、本当にその問題を経験したのでしょうか。声の明るさからは決められません。
NN/g のリサーチ手法ガイドは、態度と行動を区別しています。発言と実際の行動からわかることは異なります。感想も役に立ちますが、結論の範囲を合わせる必要があります。
ここでは「経費精算アシスタント」を例に考えます。登場人物、発言、出来事はすべて説明用の架空事例です。ScribeFlash の顧客調査や製品機能ではありません。
分析する前に、参加者に見せたものを残す
コンセプトカードに「領収書の写真をアップロードすると、申請用の書類を自動で整理」と書いたとします。参加者の佐藤さんは「それなら、上司に承認をお願いしなくてよくなりますね」と答えました。
作りたいのは書類を整理する機能です。佐藤さんは承認そのものが不要になると受け取っています。「自動経費精算が支持された」とまとめてしまうと、この食い違いが消えてしまいます。
各回について、カードの版、提示順、紹介に使った言葉、途中で加えた説明、参加者による最初の言い換えを記録します。途中でカードを変えたなら版を分けます。異なる説明を聞いた人の反応を、同じ条件の回答として数えないようにしましょう。
「これは、どの作業をしてくれるものだと理解しましたか」と聞き、説明を足す前に答えを待ちます。機能の範囲を伝えた後の反応は、最初の反応と分けて残します。誤解も分析する価値のある資料です。
利用意向を聞いたら、具体的な経験に戻る
佐藤さんが「精算は面倒」と言ったら、直近の申請について聞いてみます。領収書を集めてから提出するまで、何をしたのでしょう。金曜の夕方にタクシーの領収書が一枚足りず、帰宅後にメッセージの添付ファイルを探した、という話かもしれません。
これで調べたい場面が見えてきます。ただし、まだ本人が過去を振り返って話した内容です。操作や関連記録を確認していなければ、研究者が直接観察した行動とは書けません。
たとえば、次のように聞き進められます。全部を毎回、順番通りに聞く必要はありません。
- 「よいと思ったのは、どの部分ですか」。評価の対象を確かめます。
- 「そのとき足りない書類は、どうやってそろえましたか」。今の対処方法を聞きます。
- 「その申請にこの仕組みを使うと、どこが変わりそうですか。変わらない部分はありますか」。使いどころを探ります。
- 「自分の資料で試すとしたら、先に何を確認したいですか」。試せる条件を聞きます。
「自動整理ならかなり時間を節約できますよね」と誘導しないこと。GOV.UK のインタビューガイドも、中立的な質問で具体的な経験を聞くことを勧めています。想定した利点を否定する答えも大切な資料です。
性質の違う資料を分けて記録する
下の表は人が分析するときの整理例です。ScribeFlash が自動で付ける評価点や判定ではありません。
| 架空の事例に含まれる資料 | 記録できること | まだ判断できないこと | | --- | --- | --- | | 「写真を送れば、承認は気にしなくていい」 | 想定範囲と異なるコンセプトの理解 | 正しく理解したうえでの賛同 | | 「先週、タクシーの領収書を探した」 | 本人が語った最近の経験 | 申請の全過程を直接観察した事実 | | 「公開されたら使うと思う」 | 表明された利用意向 | 登録、購入、継続利用 | | 原型の操作課題で追加提出の入口を見つけられない | 記録した条件下での観察 | 公開後のタスク完了率 | | 火曜日の試用を予約し、実際に参加した | 一回の具体的な行動 | 購入意思や長期的な定着 |
一つの発言に複数の情報が含まれることもあります。分類のために細かく切りすぎず、前後の文脈を残します。発言には参加者番号、インタビューの出典、コンセプトの版を添えます。録音の時刻は、実際にある場合にだけ記録します。
反応が薄い人の話も読みましょう。別の架空の参加者、田中さんは「領収書の読み取りは今の社内システムでできる。困るのは、精算対象になる費用がわからないこと」と話しました。これは規程の理解に関する話です。「もっと便利に精算したい」という大きなテーマに埋めてしまうのは惜しいところです。
次の調査で観察することを決める
この架空の資料なら、結論は次のように書けます。
佐藤さんは書類整理を「承認が不要になる」と理解した。田中さんには既存の領収書読み取り機能がある。自動整理を採用する価値は、まだ判断できない。コンセプトの説明を直したうえで、不足書類を集める作業と規程を確認する作業を別々に調べる。
理解を確かめたいなら、修正版を新しい参加者に見せ、言い換えてもらいます。操作できるかを確かめたいなら、動かせる原型を用意します。支払いを調べたいなら、料金、提供内容、試用条件を明確にして、実際の選択を確認する必要があります。
メールアドレスを残す、試用を予約する、参加する、支払う。それぞれを別の記録にします。行動がなかった理由も聞いてみます。資料を出せない、日程が合わない、購入権限がない、といった事情を一括して「ニーズがない」と扱うことはできません。分析の終わりには、次に必要な根拠を一つ具体的に挙げられる状態を目指します。
ScribeFlash のテンプレートで資料を整理する
インタビューや原型テストは別途実施します。ScribeFlash は取り込んだ資料と結論の整理に使えます。開発に進むかどうかは、チームが判断します。
- コンセプト評価テンプレートを開き、案内に従ってログインします。プロジェクト名、目的、四つの調査質問が入力済みになります。質問は理解、最近の場面、懸念、仮説に反する回答を扱います。
- 名前を「経費精算アシスタント V1 評価」などに変更します。今回の判断に合わせて目的と質問を編集し、保存します。ここでの質問は分析用です。会話中の聞き方は別のインタビューガイドに書きます。
- 各回の資料をプロジェクトに取り込みます。文字起こし済みならテキスト取り込みを使えます。不要な個人情報を除き、参加者番号をそろえます。提示資料の版や説明条件も調査記録に残します。
- 「使う」「使わない」や、利用に付く条件を重点的に校正します。原文から根拠を整理するときは文脈を残し、対応する調査質問に関連付けます。
- 結論を生成、整理したら、引用された根拠を開いて確認します。推測が事実になっていないか、反対の資料が抜けていないかを読み、結論の範囲を直してから研究者が確認します。
- 確認済みの結論をレポートにまとめ、未解決の疑問と次の調査を書きます。インタビューレポートの書き方も参考にしてください。生成された文章だけで市場ニーズが検証されるわけではなく、判断の根拠は引き続き必要です。
まだ調査を始めていない場合は、テンプレート一覧で質問を確認してから、自分の課題に合わせて変更できます。何を決めたいのかが具体的だと、会話の内容も分析後に使いやすくなります。
参考資料
経費精算の事例、整理表、次の調査案は、方法を説明するために作成したものです。実際の調査結果ではありません。
コンセプト評価テンプレートから始める
提示したコンセプトとインタビュー資料を用意し、調査質問を編集して、結論の根拠を確認します。
