インタビュー設計
顧客インタビューの質問設計:誘導を避け、実体験を聞く方法
調査課題を、中立で答えやすい質問と自然な深掘りに変える方法を、同意取得とパイロット実施まで含めて解説します。

要点
顧客インタビューガイドは、質問票ではなく会話の地図です。調査で支えたい意思決定を明確にし、少数の調査課題をトピックに分けます。各トピックには、広く答えられる問いを一つか二つと、中立的な深掘りを用意します。
「この機能は好きですか」より、「前回この作業をしたとき、何が起きましたか」のほうが役に立ちます。後者なら、使った道具、引き継ぎ、停止した場所、回避策まで聞けるからです。
調査課題と参加者への質問を分ける
「新規顧客が初期設定を終えないのはなぜか」はチームの調査課題です。そのまま参加者に聞くには抽象的で、社内用語も含んでいます。
実体験から答えられる形に変えます。
- 「初めて使った日のことを思い出してください。何を終えようとしていましたか」
- 「どこから始めて、その次に何をしましたか」
- 「途中で止まったり、別の資料を探したりした場面はありましたか」
- 「そのとき、どう対応しましたか」
難しかったと決めつけていない点が大切です。複数人の具体的な話を比べたあとで、チームが元の調査課題に答えます。
会話できるガイドを作る
45分のインタビューに主質問を20個入れると、一問ずつが浅くなります。五つから七つのトピックに絞り、具体例を聞く時間を残したほうがよいでしょう。
参加者の役割と日常から始め、直近の出来事、困った場所、現在の回避策、結果へ進むと自然です。センシティブな話題は、少し関係ができてから扱います。最後には、こちらが聞かなかった重要なことを補ってもらう時間を置きます。
各トピックに開始質問と任意の深掘りを書きます。ただし、深掘りを全部読み上げる必要はありません。半構造化インタビューでは、重要な話を追う柔軟さが必要です。
未来の予測より、実際の出来事を聞く
「自動レポート機能があれば使いますか」は答えやすい一方、未来の行動を正確に示すとは限りません。参加者は研究者に好意的に答えることも、自分の将来の利用を見誤ることもあります。
代わりに、最近の行動を聞きます。
- 「前回このレポートを提出したとき、どのツールを使いましたか」
- 「作業を始めてから送信するまで、何がありましたか」
- 「誰かの承認が必要だったのはどの段階ですか」
- 「時間を短くするために何を試しましたか。今も使っていますか」
インタビューは自己申告を集める手法です。画面上の操作が本当にできるかを知りたいなら、実際の操作を観察し、必要に応じて行動データと組み合わせます。
誘導表現、二重質問、社内用語を取り除く
「新しい要約で時間を短縮できましたか」は、改善を前提にしています。「二つの整理方法は、それぞれ仕事にどんな影響がありましたか」と聞けば、参加者が評価を決められます。
「アップロードと編集は簡単でしたか」のような二重質問も分けます。「まあまあ」という答えでは、どちらを指しているか分かりません。
社内用語も見直します。「インサイトリポジトリをどう管理しますか」ではなく、「インタビューのあと、使えそうな内容をどこに置き、誰が後で見ますか」と聞きます。参加者が専門用語を使ったら、その後は同じ言葉を使えます。
参加者の代わりに説明せず、深掘りする
使いやすい深掘りは短いものです。「最近の例を教えてください」「その次はどうなりましたか」「『面倒』とは、どの部分ですか」「ほかに誰が関わりましたか」。沈黙があっても、すぐ次の質問で埋めないでください。
「高すぎたからやめたのですね」と聞くと、原因まで研究者が決めています。「続けなかった理由は何でしたか」と聞き、必要なら比較したものや相談相手を追加で確認します。
録音前に、同意と利用範囲を伝える
録音や詳細な記録を始める前に、調査目的、収集する情報、保存方法、閲覧者、共有範囲、参加をやめる方法を説明し、インフォームド・コンセントを得ます。法令や組織の規則は地域と業界で異なるため、機微情報を扱う調査は担当の法務・プライバシー部門に確認してください。
参加への同意を、音声・映像・画面録画や社内共有すべてへの同意とみなしてはいけません。用途を分けて説明します。GOV.UK のガイドも、記録前の同意と、合意した目的の範囲でのみ資料を使うことを勧めています。
本番前に一度、通して試す
同僚に参加者役を頼み、時間を測ります。長すぎる質問、社内でしか通じない言葉、急な話題転換は、声に出すとすぐ分かります。
可能なら対象ユーザーに近い人とも一度試します。本番と同じように進行し、具体的な話が得られたか、深掘りが重複していないか、期待する答えを示す表現がなかったかを確認します。セッションを詰め込みすぎず、前の回を受けてガイドを直す時間も残します。
45分の進行例
**開始、約5分:**目的と時間、データの扱いを説明し、必要なら録音への同意を別に確認します。役割と仕事の背景から会話を始めます。
直近の出来事、約15分:「最近この仕事を終えたときのことを思い出してください。何がきっかけでしたか」。その後は時間順に、使ったものと関係者を聞きます。
**問題と回避策、約15分:**話の中ですでに出た場面を深掘りします。チームが想定した問題一覧を読み上げて選ばせないようにします。
**結果と判断、約5分:**何をもって完了とするか、誰が確認するか、間違いがあると何が起きるかを聞きます。
**終了、約5分:**不明点を確認し、聞き漏らしたことがないか尋ね、資料の扱いを説明します。終了後すぐにメモを作り、参加者の発言と研究者の解釈を分けます。
ScribeFlash では、プロジェクト作成ガイドに沿って目的と調査課題を記録できます。次に顧客インタビューの文字起こしとインタビュー分析へ進めます。
参考資料
質問とエビデンスを一つの調査プロジェクトで管理する
目的と調査課題を記録し、文字起こしを確認して、エビデンスを参加者の発言につなげます。
